これまで数本のデモ音源をリリースするのみで一般流通を控えていた、沖縄を拠点に活動するバンド"アルカシルカ"が遂に1stフルアルバム『不条理不協和音』をリリース。
ハードコアパンクを芯に置きながらもあらゆるレベルミュージックからの影響下にあるその音楽性は、現存の音楽ジャンルや特定のバンドでの形容が非常に難しく、このバンドの事を一言で表す分かりやすい表現が見つかりそうにない。
また、自らをスラッシュフォークバンドと名乗っているが、そもそもそのようなジャンルが存在しないため、彼らの音楽を伝えるには不十分とも言えるかもしれない。
あえて説明するのなら、非常にキャッチーなアコーディオンの旋律と、それに乗っかる独特の言葉回しの歌が特に印象的で、切り刻まれたような忙しい曲展開も相まって、短い曲の中に非常に沢山の情報量が詰まっている音楽と言える。
歌詞は、生活や経験を元にした歌が多く、言葉遊びを多用したユーモアの中にも強烈なメッセージが込められており、是非とも歌詞を確認しながら聴いて欲しい。
そして、そんな彼らの本作における歌詞カードなのだが、なんと72ページにも及ぶハードカバーの書籍になっている。
その中には各楽曲の歌詞と曲解説、さらには33ページ分のマンガまで収録されており、もはやブックレットがメインではないのかと錯覚させられてしまう。 ちなみに、これまでアルカシルカはレコーディングやミキシング、バンドのアートワークまで全てメンバー自身が行ってきたが、本作では初めてメンバー以外の者に協力してもらったものがブックレット内に収録されているマンガである。
ストーリーはボーカルのYOUが考え、彼らの友人である漫画家の"髙野F"が絵を描いている。
さらに音源に関してもすごいボリュームになっており、収録時間約68分、合計40トラックになっている。